トリップの7日前ーカフェインを控え始めた。ニュースを見るのをやめた。毒になる人と連絡をとらないようにした。仏教について勉強し始め、アランワッツの著作を2つ読んだ。エックハルトトールの本を一冊。様々なヨギや神秘家についても読んだ。
(摂取まで中略)
T+0h 220μgのタブ4枚と、110μgのタブ1枚を摂取。これらは高品質で、友人がテスト済み。
これからほとんどの時間をベッドで動かずに過ごす。
(中略)
T+00:30h 壁を眺めていると、壁の中の点々が画像に変化した。古代仏教寺院と森が見えた。色や実際の画像が見えたのではなく、点々がその輪郭を形作っていた。
T+01:00h ここまでは時間感覚があったが、ここから先は時間感覚がなくなるので、時間表記は大まかな予想になる。すでにトリップは強烈で、全ての感覚が奇妙だ。外のかなり遠くでの会話が聞こえ、壁も含めて全てがかなり柔らかく感じる。変なことに、視界がものを原色に分離したりする。
T+01:10〜口から段ボールのようなタブの味を取るためにまた水をすすってから、瞑想に入った。ほぼ目を閉じた瞬間にトランス状態に入り、何百もの考えが頭に浮かんだ。そのうちの5%も思い出せないが、すごい閃きもあった。
音楽は聴いていなかったが、想像だけで曲を再生する事ができ、リアルに聞こえた。複雑なクラシック音楽を「聞く」事が出来、一つ一つの楽器の音に集中することも出来て凄かった。
T+03:00〜トランスから出て、目を開けたが、完全に迷っている。どこにいるかが分からない。そこで10分くらい座っていて、自分がドラッグを飲んで、自分の部屋にいる事に気がついた。それで少しは安心したが、まだ自分がおかしくなっているように感じた。文字通りの意味で。
自分の持っていた現実のパラダイムはもう存在しなかった。新しい「現実世界の地図」を探そうとしたが、一つ見つけた瞬間に失われた(これを読んでいる多くの人は何のことか分からないだろうが、エキスパートのトリッパーたちはおそらく何のことか分かると思う)。
そして気がついた。何一つおかしいことはない。答えを見つけるのをやめることにしたが、それは100%自分が取れる最も良い選択だった。
現実にしがみ付くことをやめると、とても強い安心の快さが私を打ち、不安はなく、自分の物理的肉体を自分自身として見なくなった。仏陀はいつかこう言ったと思う、「自己なければ、問題なし」。
この時点で、「自己」や「自我」といった概念は全くのナンセンスになっていた。瞑想に戻ることにする。
T+04:00〜 ここからトリップは狂気的になる。目を閉じた時に見えるのはただの「閉眼幻覚」ではない。閉じたまぶたの先が見えるのだ。
この時点では、どういうわけか一定時間は頭の中を空白にすることが出来た。冗談抜きで、そこに3〜5日は座っているように感じた。仏教徒がディヤーナ(禅定、さとり)と呼ぶものを経験しているように感じた。その後あまりに多くのことが起こり、本が書けるくらいだが、そのハイライトだけを書くことにする。
私はとてもスピリチュアルになった。自分は瞑想に苦労していたのだが、非常に落ち着いた覚者の聖者たちが、私に心の平穏を作る方法を教えてくれた。私は彼らの導きについていくしかなかった。今から「宇宙を経験する」ことになると感じた。すべての原子、すべての植物、すべての人間、とにかく全て。私はこの旅が楽しみではあったが、覚者たちにどれくらいかかるのかを聞いた。彼はもう200年間もやっているが、まだ旅の道程の1%ほどでしかないと言った。もっと早くする方法はないのかと聞いたら、彼は笑い、私を仏陀の元へ連れて行った。
覚者は、「仏陀はこの世界のあらゆるすべての快楽と、あらゆるすべての苦痛を経験した」と教えてくれた。それを聞いて思った。あらゆるすべての苦痛だって・・・。なのにこのマザーファッカー仏陀は今まで見たこともないような満面の笑みを浮かべていた。
仏陀は私を、巨大な扉があるダムのような場所に導いた。自分はその扉の前に一人で立っていたが、私がその扉をノックしようとする前に、強大な幽霊のような存在(仏陀に似ている)が扉を開けた。
ここがどこかを聞くと彼は大きな慈愛を込めた笑みとともに、ここが全知識の図書館だと言い、私を「知識の本たち」へと導いた。
図書館は巨大だったが自分は矮小だった。そこで精霊はすぐに、私に飛ぶ能力をくれた。
彼は本を開けた。
そしてそれは強く私を打った。 悟り。
この世の全ての美を見た。この体験をどう説明すれば良いのか分からない。その本は全ての問題に答え、全てがありのままの姿で完全であることをはっきりさせた。・・正直これは自分の勘違いかもしれない。だがその瞬間は疑いようもなく悟りを開いたように感じたし、この感覚が持続するようにも感じた(長期的には、持続しなかったが)。この本は自分にテレポート能力を与え、自分は世界のどこにでもテレポートでき、その場所のありのままの姿を体験できた(人間の五感による経験ではない)。それはとても強くてカラフルなエネルギーであり、構造だけがあり、物体個体はない。
もう一つ言いたいのは、私はこの精霊から、今まで受けたことのないような最上の慈悲と愛、理解を受けた。私は精霊に、どうやって霊的に成功した人生を生きられるかを聞くと、彼はこう答えた。「ただ周りのしるしを見てみなさい。UNITEDstates, europianUNION, UNITEDnations, wifi CONNECTION..
(トリップ中は本当にこれがとても深い洞察だと思ったのだ笑。いや、どうだろうかもしかしたら本当に深いのかもしれない笑)
T+07:00〜瞑想から出て、効果が下がってきていることに気が付いたが、まだかなり強くトリップしている。空腹なので桃を食べた。メモを取っていると、文字が紙の上で踊っているようだ。
瞑想に戻って鳥の声を聞く(もう朝になっている)。遠くで何かのジェネレーターが鳴っている。自分の頭の中では株式取引所に聞こえた。各種の音源が、他の音源と音を交換していて、価格について口論している。といっても意味が分からないだろうハハハ。
T09:00〜目を開けて、吐く。買いたての新しいセーターとベッドに。掃除するしかない。ところで吐いた原因はドラッグではなく、さきほど食べた桃をちゃんと噛まなかったからだと思う。噛まずに一個一個飲み込んでいた。(中略)
まだけっこうトリップしていることに気がついた。まだ強い視覚効果があり、床のタイルが泳いでいる。この時にはもう、この視覚を自分の新しい現実として受け入れていた。
9〜13hは200〜400μgのトリップに感じたが大して気にしなかった。自分がついさっき仏陀に会ったこと以外を考えることが出来なかった。宇宙船に張り付けられるのに比べると、200μgは自転車に乗るようなものだ。
T+13:00〜 幻視はほぼなくなったが、視覚ははっきりしていて、明るい色が見える。瞳孔はまだかなり開いている。一日中、マイクロドースしているような感覚が続く。
↓翻訳されたreddit投稿の
元ページ
:おわりに・管理人コメント:
ハイドースのレポートは日本語ではとにかく稀で、このブログでもこのようなものは扱ったことがなかったので、翻訳してみることにしました。英語ではあらゆる物質のあらゆるドースのレポートが無数に出回ってます。
今回このレポートを選んだのは、単純に内容がかなり面白いと思ったからです。ですが、念のため申し上げておきます。この人の真似をしないでください。これはただの読み物です。あなたが同じ物質を摂取しても、決して同じ体験は保証されておりません。このようなハイドースは馬鹿がやることだ、危ないと批判されることが多いです。とくにこの人の場合、トリップシッターもなく、抗不安薬の用意があったのかも不明。馬鹿であることと、運の良さで乗り越えただけ、と言われるかもしれません。
このドースでバッドトリップをしたらどれだけ危険かは、ご想像にお任せします。
冒頭にこの作者の年齢が書いてあったんですが、あえて省きました。有害だと思ったので。私は若い人のトリップには強く反対しています。この人はとにかく若過ぎます(19歳と書いてある)。
軽い気持ちで真似する人を止めるために手厳しくしましたが、このようなレポートはもっとたくさん読まれるべきだとは思っています。100μg程度しか摂取しない人がかなり多くいますし、サイケデリック体験の本当に一番深いところに何があるのか、知らない人が多いです。時に、トリップレポートはかなり多くの示唆を与えてくれます。トリップの代わりになる事すらあると思う。
追記:トリップ解釈、元型について
ハイドースのトリップでは、トリップ者がエンティティ(様々な存在)と出会う事が報告される。このレポートではエンティティという用語は出てこないが、ピーク時になんの説明もなく突如登場した「非常に落ち着いた覚者の聖者」や、その次の「仏陀」と「巨大な霊」がエンティティである。
レポート者は仏陀と巨大な霊が似ていると報告しているが、私は、似ているならば同じエンティティのバリエーションだろうと考える。最初の聖者たちも、同じエンティティだろう。同じ原理が、三つの姿を取っているに過ぎない。
特に深い意味はない偶然だと思うのだが、キリスト教の三位一体に似ていると考えると興味深い。覚者が子キリスト、仏陀が父なる神、霊は精霊。絶対原理である神がこの三つの姿を取って現れた。
だがキリスト教的解釈は場違いだろう。このトリップ者は最初に書いているように、東洋思想、仏教に強い関心がある。仏教を導きとして利用していた。だから彼の最深層を表すエンティティは彼の前では仏陀として現れた。
ユングは、無意識の深層に潜んでいる人格を「元型」と呼んだ。ユング心理学から見ると、エンティティとは要するに元型との出会いという事になると思う。元型とは集合的無意識の内容でもある。強いサイケデリック体験は明らかに意識を集合的無意識につなぐものなので、元型が体験される。
ユングは、人は一つの人格からなるのではなく、様々な人格の複合体(コンプレックス)だと考えている。元型はそれ自体が人格なのだ。だからエンティティと出会う人は、エンティティを「自分と別の人格」だと言う。自分の中にあるものには見えないのだ。これはユングの考えと一貫性がある。元型は、本来自我との関わりがないので、自分の一部だと感じない。
ユング心理学元型で最も重要で代表的なのは、アニマ、アニムス、影、自己である。
アニマは男性の中の女性性、アニムスは女性の中の男性性を表す元型。
影は文字通り人格の影で、向き合いたくない、おざなりにしている面を表す。
自己は、果たして元型と呼んでいいのか分からないが、人格の真の中心である。だがその実態をつかむ事は不可能である。元型は文字通り「元の型」であり、スタンプみたいなものである。我々はせいぜい、押されたスタンプのインクのシミを比較することしかできず、スタンプ本体=元型は無意識の中にあるので絶対に知ることは出来ない。
我々は元型的体験=押されたスタンプのインクのシミを、相互に比較することによって、心の最深層の構造を探らなければいけない。だがスタンプ本体について、つまり元型そのものについてその内容を断言してしまうと、それはもう心理学ではなく形而上学、つまり宗教的なものになってしまうので気をつけなければいけない。
このレポートでトリップ者が出会った元型は、精神元型か自己元型だろう。(元型ははっきり定義できるわけではないので、両方だと言って問題ないと思う)
精神元型とは、老賢者元型とも呼ばれ、早い話がロードオブザリングのガンダルフやスターウォーズのオビワンみたいな形象である。神話の中では、知恵を授ける老賢者として現れる。
自己元型は、キリストや仏陀の形で現れることが多い。なぜならキリストや仏陀は理想上の、「完全な人格」を表すからである。事実、キリストを信仰する人はキリストを、仏陀を信仰する人は仏陀を、最高で究極の完成者として理解しているはずだ。これが人格完成のゴールなのだ。実際にはたどり着けないが、目標にするべき「方向性」として理解される。
このトリップ者は悟りを開いたように感じたと報告している。これを思い込みだろうと言って切るのは簡単だが、私は特に彼の悟りが本物か偽物かという判断をするつもりはありません。そんなことより、こんなはっきりと具体的な形で元型的体験をして報告してくれたことに感謝します。
このレポートを読む時、所詮は思い込みだというアプローチを持っている人は本当の深みを経験できません。これは実際に人に起こりうることなのです。自分に起こっていることだと想像しながら読んで欲しいです。
脳はこのような体験を生み出す能力をもともと持っており、誰もが、このような体験をする事は可能なのです。
こんなことが、あなたにも起きうるのです。なぜなら、あなたの脳にはこういった体験の母胎が、眠っている元型がすでにあるのですから。
なぜこんな体験が可能なのか?を考えてみてほしい。
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