トリップシッターとは、トリップ者の万が一の事態にために、近く、あるいは一緒にいるシラフの人です。ベビーシッターみたいなもんです。が、扱うのはベビーではなく幻覚剤の影響下にある人間です。

 多くの人は、トリップシッターをつけれる場合にはつけます。特に初めて強いドースをやる時などはかなりいた方が良いと言われる。
普通~弱いドースではいらないかもしれないが、初めてならいた方が安心でしょう。安全意識のある人は確実につけろと言うくらいです。

が、幻覚剤の理解が乏しい社会ですから、この国だとトリップシッターを用意するのは人によっては難しいかも知れません。注意すべきなのは、信頼関係がなければだめで、誰でも良いわけではない。
 強烈な幻覚体験をしていると時、近くによく知らない人がいたら、非常な恐怖を感じます。「本当はこの人をあまり知らない、本当に信頼できるのか?悪意を持っているのではないか」と考えます。  ネットでトリップシッター募集などをしている人もいますが、そんなのではダメです。原則として最も信頼できる人にやらせないと意味がありません。自分がいなくなって、何がなんだが分からない時に自分を現実につなぎとめる人間がトリップシッターです。あなたを完全に受け入れる覚悟がある人でないと勤まりません。

トリップしてる者は、現実が分かりません。たとえば、バッドトリップなどでパニックして、自分が命の危険にあると感じる。この感覚は本人にとっては本物であって一大事です。思い込みだと気づけば落ち着くとかそんな単純なものではないです。
そういう時に、信頼できる人が、「大丈夫だ、安心して」などと言ってくれるだけでかなり助かります。トリップシッターはその場所が安全であるという確信をトリップ者に与えます。カウンセラーのようなものです。なのでトリップシッターの方が少しでも慌てると、失格です。

緊急時どうすべきか判断するのはシラフの人でないと難しい。
そしてトリップ者が思考ループや悪いムードなどに陥ってるとき、外の誰かが環境を変える事が非常に効果的な場合があります。良い音楽をかけるとか、別の場所に連れて行くとか。外からの影響は内的なループを断ち切らせるわけです。


バッドトリップをしてる人は恋人や、あるいは信頼できる友人、兄弟などに電話して助けを求める話をよく聞きます。非常な恐怖の中、どうしても他人の助けがいるように感じる時があります。一言の言葉が欲しいだけなんです。愛情は地獄の孤独感に効く特効薬です。自我が崩壊して自分が何もない空中に浮遊している時、最も弱い状態である自分を受け入れてくれる人の存在を確信できると、あなたは無の中に吸い込まれていかずに現世にとどまることが出来るでしょう。
バッドトリップ時、愛する人に救って貰わなかったらどうなってたか分からない、って言う話は何度も聞いた事があります。

トリップシッターがいかにあるべきかをいろいろ書きます。一人でトリップする人でも、これを知っておいて損はありません。

トリップシッター大原則⓵ トリップ者の決めている物質を知る

何でトリップしてるか分からないと意味がない。自分で同じ物質の体験があるのが望ましい。吐き気など、どういう副作用が伴うのか知っておく。事前に調べておく。(日本語で調べて出てこないなら英語で調べる。基本情報ならグーグル翻訳でも使いながらpsychonaut wikiなどを見てみよう)
特に危険な飲み合わせなどは回避する事。
トリップ者が死ぬのでは?などとビビっていたら、「ちゃんと下調べはしたし、危険なものはないし、身体毒性はないから死ぬ事はない、過去死んだ人はいない」、と堂々と伝えられるように。知識は味方。


トリップシッター大原則⓶ 絶対の自信を持ち安心を伝播するべし

トリップ者がいかにパニックしてても、トリップシッターも一緒にパニックするのは厳禁。厳厳厳禁。トリップシッターはシラフだから、感情を完璧に制御できるはず。
トリップシッターまで不安してると、トリップ者はその不安を汲読み取り、「トリップシッターも怯えてるなら、本当にまずい事が起きている」と勘違いし、さらに精神が悪化する。本当はまずい事は起こっておらず、全て思い込みだと教えてあげるのがミソ。
だが、これはLSDなど、(身体的)安全性が確立されている物質を使用している場合の話で、N-Bomb など、苦い偽物の紙で、本当に「毒性で」死んでいる場合はちゃんと救急車を呼びましょう(そもそもnボムはやるな!)
トリップシッターはいかにトリップ者が恐ろしい目にあっていると分かっていても、それは物質の作用だけだと常に心得る。絶対に安心と安全を表明し続け、不安を表現してはならない。これを上手く出来るには、やはりトリップシッター本人がトリップ、特にバッドトリップを経験しているとかなり心強い。

トリップシッター大原則⓷ 主人公の邪魔をしない

トリップ現場の主人公は、トリップ者本人。トリップシッターは、トリップ者の要望は全て聞き、自分の要望は時に我慢すべし。それも全て契約内容のうちだ。その一日が仮につまらなかったとしても、トリップシットをした借りは作ったので、別の機会に頼めば今度は自分の方をトリップシットしてくれるはず。
トリップ者が、変な哲学や思想を語り出したりしたら、かまってあげましょう。逆に、トリップシッターの方が、自分の哲学をベラベラ喋ったり、何が見えるか質問しまくったりするのは、やめた方が良い。トリップ者は自分のやりたい事をする自由が必要だ。
トリップ者が神秘体験をしていると時、トリップシッターがどうでも良い事で話しかけたためにぶち壊してしまう、という可能性もあります。それだけは避けたいです。
常に一緒にいるべきか、それとも別の部屋にいて、緊急時まで干渉しないか、それはどちらでもいいが、トリップ者に決めさせよう。
トリップ者が助けを呼んだ時はじめて干渉する、それまでは全く関わらない、という方法を好む人も多い。


トリップシッター大原則⓸ 想像力を働かすべし。

トリップ者と会話する場合、スムーズに進むと思ってはならない。トリップ者は言葉の組み立てが難しいし、簡単な動作にも手間をかける。
さらにトリップ者はあらゆる感覚が変化している。時間感覚も変化しているので、こちらのスムーズな動きもあちらからみるとコマ切れになってるかもしれないし、こちらの顔はめちゃくちゃな形になってるかも知れない。
普通の人との会話とは違う事を心得ておく。変な事を勘繰らない。



トリップシッター大原則⓹ いつが緊急か知るべし

パニックするべきじゃない時に、トリップシッターの方がパニックしていたら完全に失格です。
トリップ者を助けられそうな時は助けましょう。安心になる言葉をかけましょう。
だがいつがその時か、判断出来ないといけない。
トリップ者が突然倒れたり、意識不明に見えたりしても、ただ「エゴの崩壊」を体験してるだけで、何も緊急ではない、慌てる必要はない、という場合も多いだろう。そう判断するには、やはりトリップシッター自身に、エゴの崩壊体験の経験がないとダメです。

本格的なバッドトリップ状態になれば、もう言葉であやすのは難しくなる。
トリップ者が負の思考でだんだんダークになっていきそうに見える時、トリップ者の気分転換をさせる事に全力を尽くそう。
トリップ者が暗い世界に入りこもうとしている時、外界から新しい刺激を与えるのが非常に効果的なので、別の場所に連れて行ったり、音楽をかけたり、というのがよく言われる。たとえばトリップ者がスマホをみて、スマホが原因で不快にしてそうなら、取り上げるとか(無理に取りあげて怒らすのも当然駄目だが)、別の事をやらせるとか、出来るだけ明るいムードを保てるようによく考える。

明るいムードをわざと無理に演出し続ける、それも駄目だ。わざとらしいと、裏があると思われる。ここは一種のセンスが必要と言える。愛想笑いばっかりしているような人にはできない。
トリップ者は、自分の精神状態や、精神の方向性に自覚がない場合が多い。なのでシラフの人(トリップシッター)は自分より他人(トリップ者)の感情を把握しておく事。自分は二の次。一日カウンセラーみたいなもの。